第2回受賞者

2回 受賞者

武藤 真祐

医療法人社団鉄祐会 理事長
Tetsuyu Healthcare
Holdings Co-founder

推薦者 
逢沢 一郎 衆議院議員 
黒川  清 政策研究大学院大学 客員教授
辻  哲夫 東京大学高齢社会総合研究機構
      特任教授
間野 博行

武藤真祐氏は、超高齢社会が抱える問題に正面から向き合い、在宅医療・介護の分野で挑戦を続ける医療界のイノベーターの一人である。

彼は、野口英世の生き方に憧れ、幼い頃から医師を志した。東大医学部を卒業し、大学病院で循環器内科・救急医療の経験を積んだ後、宮内庁で侍医(じい)を務める。その後、マッキンゼーでコンサルタントとしての経験を経て、超高齢社会の課題を解決するため、2010年に在宅医療を中心とした診療所「祐ホームクリニック」(2011年には医療法人化)を東京都文京区に開設した。2015年11月現在、3つの診療所で、約100名のスタッフとともに約800名以上の在宅患者を支えており、年間の患者看取り数は120名を超える。

彼の社会的な課題に向き合う姿勢は、東日本大震災の被災地支援でも表れている。震災後、被災した高齢患者を支えるために、2011年9月には石巻市で診療所を立ち上げた。

また、診療だけでなく、社会的サポートが行き届いていなかった浸水地域にそのまま生活を続ける「在宅被災者」の存在を見逃すことなく、彼らの健康・生活を包括的にサポートすべく同年10月「石巻医療圏 健康・生活復興協議会(RCI)」を立ち上げた。のべ2万人のボランティアを動員し、全2万世帯に直接足を運び、そのうち3千世帯以上の本当に支援が必要な人へのサポートを続けた。その結果は緻密にデータ化され、地域や住民の現状を明らかにすることで復興政策へも貢献することになった。

こうした問題の解決にあたり、彼は、ICTを活用して大きく3つの成果を挙げた。第一に、在宅医療にICTを導入し、安全で質が高く、正確で効率的なシステムを構築した。第二に、在宅医療・介護の多職種連携におけるICTを活用した情報共有システムを構築した。この在宅医療・介護のチームケアの仕組みはモデルケースとして評価され、政府や各省庁の政策にも活かされてきた。第三に、高齢者の包括的な生活情報をICTデータベースに集約し、そのデータを分析することで、困窮者に対して複数のサービス提供者による最適な個別支援を実現した。この仕組みは今後の高齢化社会に大きなイノベーションをもたらす可能性を秘めている。

更に2015年4月、彼はシンガポールにおいて、「Tetsuyu Healthcare Holdings」を設立した。アジア諸国でも高齢化が急速に進行しているが、在宅医療・介護サービスが十分に発達している国は少ない。同年8月より在宅医療とケアマネジメントを組み合わせたサービスを開始しており、また遠隔診療・遠隔モニタリングなどの新しい医療のあり方にも取り組みつつある。

日本で構築した優れたシステムを世界に発信すること、そして高齢者を孤独にさせず安心して過ごせる社会インフラを構築する武藤氏の功績はまさにイノベーターとして相応しいだろう。

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